M21 伝える技術3 〜補完するフィードバック〜
コーチングは相手の思考を刺激して、気づきや発見を得ながら行動を促していくコミュニケーションだ。
基本としてはクライアントが自ら考え答えを出すことで、コーチはその手助けをすること。
このとき、クライアントが、なんとなく目的達成をしたい、と思ってはいるのだけど、どうすれば分からない、だとか、あるいはAかBかどちらか、という限定された選択肢しか見えていない、という場合、クライアントに知識あるいは経験がなく、うまく思考が働かない、あるいは問いを立てられない、という状況があり得る。
その場合、ひたすらクライアントからの答えを待っていても、出てこない場合がある。
そうした、明らかにクライアント側にその風景がない場合、時にはコーチの知識経験がクライアントに役立つ場合がある。コーチがそう判断したら、適切なタイミングで伝える、ということはあり得るというお話。
これはティーチングにあたる。
ただし、タイミングが重要だ。コーチが知っているからといって一方的に教えるのはコーチの独りよがり。クライアント側も耳を傾けてくれなければ有効なティーチングにならない。そもそも、人の話ってあまり聞いていない、というのもある。
そのため、ティーチングをする場面では、クライアントが以下の条件に当てはまっていることを見分ける必要があるのだ。
- クライアントが、解決すべき分野において、コーチを信頼している。
- クライアントが、それが自分に必要な情報であると認識している。
- クライアントが、自分に適した内容であると判断している。
また、次の点もしっかり意識しておくことが重要だ。
クライアントの悩みに寄り添う
クライアントに正論をかざしても響かない。一般論や正論なんて分かっていることがほとんどで、その上で悩んでいるのだから、クライアントが本当の意味で役にたつと思えるアイディアや考え方が、クライアントにとって必要なこと。そのためには、クライアントの悩みに寄り添い理解した上で、意見を伝える姿勢が大切だ。
判断基準をクライアントに引き寄せる
クライアントが盲目的に、外部の情報に振り回されているのであれば、判断基準が自分の外にあるということ。その状態でコーチがティーチングをしても本当の解決にはならない。しっかりクライアント自身で考えることができるようになる必要があり、ティーチングする場合、クライアントがそうある必要があるし、そうなっていないのなら、どうしたらクライアントがティーチングの内容を自分基準にできるか、を考える必要がある。
相手の話をききながら考えること、そして相手のことをよりよく理解する力。
そういうことが、コーチに求められるのだ。