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プロコーチへの道

M18 感情を知る その3

前回の講座は。

論理の世界と感情の世界のうち、感情の世界を取り扱い、そのうち行動の元となる動機を取り扱った。

動機には利益の追求と不利益の回避、という2つの方向があり、それぞれ浅い動機深い動機、というのがある。もちろん行動に繋がりやすいのは深い動機であり、強さという意味では利益の追求よりも不利益の回避の方になる。これは損得勘定でも本能的なものであっても、損をする、あるいは死に直面する、ということを人は回避しようとするからだ。

さて、論理の世界で一つ一つ検討し合理的に考え導き出された答えがあるとして、その答えに対してクライアントは行動を起こすことになる。その動機も分かっている。しかしクライアントの行動は起きない。じゃあそこには一体何があるのだろうか、というのが今回のテーマ。

それは、心理的なハードル、というものだ。

やりたいことがある。やろうとしていることがある。でもやれない。

なぜなら、無理だと思っているから。出来ないと心のどこかで思っているから。

これが、やりたい vs 心理的なハードル のバランスで見たときに、後者が高くなっている状況だ。

ではこれを乗り越えるにはどうしたら良いのだろうか。言い換えると、クライアントの心理的ハードルを下げるにはコーチは何ができるだろうか。

そこで出てくるキーワードとしては、「自己効力感」である。

ここで、心理学者のバンミューラという人がいて、自己効力感を高めるには4つの手段があるという。以下の通りだ。

  1. 達成した経験 ... 本人の過去の経験から、似たような経験はないだろうか。
  2. 代理体験 ... 身の回りの人で、それをやった人はいないだろうか。
  3. 言語的説得 ... 言葉でクライアントを勇気づける。
  4. 生理的/情緒的高揚 ... お酒やドラッグで高まるものなのでこれは除く。

つまり、クライアントは自分自身で出来ないと思ってしまっているけど、視点を変えてみる、視野を広げてみると、意外と出来るのでは?という自己効力感を高める気づきが与えられると、心理的ハードルが下がる、ということだ。

今回はそういう講座だった。

 

なるほど、自分のことを振り返っても、出来ないとかやれないとか、プレッシャーがかかるような状況下、チャレンジングなことを目の前にしたときに、自分の過去の経験から何とかなるだろう、と自分を鼓舞して事にあたる、ということはよくあるので、それはつまり1.に該当していたのだな。

根拠のない自信とか、良い意味での勘違い、という言い方もできるよね、という話も挙がった。一歩踏み出すために、そういう力は大きく役に立つ。

悩んでいるクライアントの背中を優しく押してあげられるようなコーチになれれば、と思ったりするTopicだったな。