M19 伝える技術1
前回までは、論理の世界...クライアントの風景とコーチの風景それぞれを描く、その方法を学び、次に感情の世界...クライアントが行動になかなか結びつかない要因、を学んだ。
さて今回は、質問以外でもクライアントの気づき発見をサポートする方法がある、という話だ。
それが、フィードバック。コーチ側から見て気づいたこと、感じたことをコーチの考え、提案などを言葉にしてクライアントに直接伝える、というものだ。
手段としては次の3つがある。
- 観察する (表情/動作/音声/身なり/キーワード)
- 要約する
- 別の枠組みを提示する(別の視点による要)
このどれもがクライアントに気づきを与えるための行為、となるわけだ。
大切なことは、「必要な時に」これを用いることがある、という点。
常に与えることをするのではなく、必要な時にこれを用いることがある、ということ。それは、行き詰まっている時だとか、流れを変える必要がある時だとか、何らかの外的要因を加える必要がある時のタイミング、だ。
さて、話はそれるが、今回もう一つ大切なお話としては、精神疾患だったり特異な性質を持っている人に対する対応、だ。
例えば躁鬱の症状を持っている方いらっしゃったら、カウンセリングなど専門機関を進める必要がある。
あるいはHSPという個性を持っている方に対しては、その特性を理解して対話する必要がある。
要は、コーチはそうした知識を学んでおき対応の仕方を考えておかないければいけない。もっといえば、コーチ自身が何らかの性質を有しているということだってあり得る。
常に知識をアップデートしている必要があることだったり、広い視野を持ち続けておく必要があることであったり、コーチがコーチでいる為には、多くの準備が必要だな、と思わずにはいられない。
そしてもう一つあった。
私は事象を一つ一つ把握するために分析する、淡々と、という傾向があるみたいだ。そこで越えるべき点として、相手の感情に寄り添う、共感をする、ということが疎かになってしまう。
相手にとっての最善を探すためのアプローチをするのだけど、つい問題や課題に対して一直線にアプローチしてしまい、本人の感情に共感を示すことが出来ていない。そのことで、相手が置き去りになる、あるいはしんどくなる、状況によってはネガテイブになる、ということを何度か経験しているはずなのに、今回もまたやってしまった。
相手のペースで、ということが大切なのだ。相手の納得の上でコーチングセッションは成り立っている。相手を置き去りにして早速相手の問題に一直線にアプローチするのは、コーチのやりたいやり方になってしまっている、言い換えればエゴになっている、ということを今一度学び取らないといけない、と思った回だった。